日銀Photo:PIXTA

11月10日、日本銀行は経費率の改善や経営統合を実現した地方銀行と信用金庫を対象に、当座預金に0.1%の金利を上乗せするという新制度を発表した。特集『銀行再編の黒幕』の番外編では、新制度の恩恵を受ける地銀はどこなのか、ランキング形式でお届けする。(ダイヤモンド編集部 田上貴大、清水理裕)

日本銀行が地域金融機関向けの新制度導入
経営統合した地銀は金利0.1%プラスの異例策

 経営統合を選んだ地方銀行に、金利で利益還元するーー。11月10日に日本銀行が発表した異例の新制度は、地銀界で驚きをもって受け止められた。

 菅義偉首相が地銀再編の必要性に言及したことで、再編が「政府マター」(大手地銀幹部)として進められているのではないかと、業界内では警戒心が芽生えている。この状況下で飛び出した日銀の新制度は、再編加速のための地ならしに政府が本気で取り組んでいる証左だといえるだろう。

 制度の具体的な中身を見ると、地域経済の持続的な発展に貢献することを前提に、(1)2020〜22年度決算における経費率(経費÷業務粗利益)が19年度決算と比較して一定程度改善しているか、(2)23年3月末までに経営統合や合併を機関決定するかのどちらかを満たせば、地銀が日銀の当座預金に預けている金額に0.1%の金利が上乗せされる。

 仮に、制度の対象となる全ての地銀と信用金庫の当座預金に年0.1%の金利を上乗せすると、年間で400億〜500億円を地域金融機関が得るとされる。では、個別の地銀で最も恩恵を受けるのはどこなのか。

 それを調べるべく、ダイヤモンド編集部では地銀単体の貸借対照表の「現金預け金」という項目に注目した。この項目には銀行が保管している通貨や小切手、ゆうちょ銀行など他の金融機関への預け金が含まれるが、日銀当座預金への預け金が「8〜9割を占める」(地銀関係者)と目される。実際には、制度の対象となる当座預金には上限額が設定されているが、現金預け金の多寡は、今回の日銀の新制度で個別地銀が得られる恩恵の実額を測る“物差し”といえるだろう。

 今回は、20年3月期決算における各行の現金預け金に金利0.1%を掛けて得られた上乗せ金額を、新制度が適用される3年分の数字(3倍)にして、金額が多い順にランキングした。早速次のページから、ランキングの結果を見ていこう。