『交渉上手』嵩原安三郎写真はイメージです Photo:PIXTA

テレビの情報番組出演や講演・セミナーも数多い人気弁護士・嵩原安三郎氏が、新著『交渉上手』を上梓。同書からの抜粋で、交渉を成功に導くためのテクニックをお教えする。交渉の目的は大きく3つ。「自分も相手も満足させる」こと、「自分を満足させる」こと、「相手を満足させる」こと。この3つの目的を叶えるために、具体的に交渉の場で気をつけるべきこととは…。

「交渉上手」であることの
条件は2つある

「交渉上手」というと、どんな人を思い浮かべますか?

 いろいろあると思いますが、ひと言でいえば「賢くて口がうまい人」、そんなところでしょう。同時に、自分は大して賢くないし口もうまくない、だから交渉も苦手なんだと思ったかもしれませんね。
 
 たしかに賢くて口がうまいことで交渉を有利に運べる人もいますが、それは交渉上手の必須条件ではありません。

 では、条件は何かというと、2つあります。

 1つは「人をよく見ている」こと、もう1つは「自分をよく見ている」こと。

 これが弁護士として長年、数々の交渉をまとめてきた私の結論です。

 どのような交渉でも相手の本音や隠れた要望を見極めることが欠かせません。それには自分が話すよりも先に相手が話すことを聞きながら、よくよく相手を観察する必要があります。

 また、交渉がうまい人は、自分のことをよくわかっています。どんなことが得意で、どんなことが苦手なのか。それを知ったうえで、自分の持つ「才能」をもっとも活かせる交渉スタイルを身につけています。