これまで、通信料金引き下げの切り札とされていたのは、自社では通信回線を持たず、ドコモやKDDIなどから回線を借りて事業を展開する仮想移動体通信事業者(MVNO)、いわゆる格安SIM事業者である。

 格安SIM事業者にとって、ドコモやKDDIに支払う回線利用料(接続料)は、いわば仕入れ価格なので、この価格がいくらなのかでコストはほぼ決まってしまう。理屈上、ドコモやKDDIが減収分を補うために、格安SIM事業者に対して値上げを実施すれば、格安SIM事業者の収益は急激に悪化することになる。

 だが、格安SIM事業者の接続料は一方的、かつ恣意的には決められない仕組みになっている。基本的に価格は設備コストに一定の利益などを上乗せして算定されるので、いきなり値上げすることは難しい。政府も当然、こうした事態は想定しており、通信行政を担当する武田良太総務相は12月8日、「(接続料について)低廉化は、公正競争を導く上で絶対条件。しっかりサポートしたい」と発言し、ドコモなど大手に対してクギを刺した。

「販売店」にメス
新たな有料サービスの展開も

 格安SIM事業者の接続料も値上げできないとなると、通信会社が利益を確保する方法は限られてくる。通信事業以外の事業(ドコモの場合にはスマートライフ事業)で利益を拡大するのが望ましいが、当然、その分野にはすでに競合が存在しているので、そう簡単にはいかない。

 コスト削減については、通信設備の部分での削減が難しいため、販管費にメスを入れるしかないが、最も即効性が高いのは、各社が全国に展開している販売代理店網に関する費用だろう。

 ドコモは全国にドコモショップという名称の販売店網を展開しているが、こうした販売店はドコモが直接経営しているわけではない。ドコモという看板をフランチャイズという形で掲げているだけで、実際にはさまざまな企業が経営している。これはKDDIのauショップも、ソフトバンクのソフトバンクショップも同じ図式である。

 通信会社はこうした販売店に携帯端末を出荷し、販売店は利用者に端末を販売しているので、端末販売から得られる利益は、販売店における収益源の一つとなっている。加えて通信会社各社は、販売店に対して手数料も支払っており、この金額は1社当たり年間3000億~4000億円に達する。