今回のパンデミック(世界的大流行)では、新型コロナウイルスの発見から1年足らずで、ワクチンの接種が始まった。なぜここまで急ピッチの開発が実現できたのか? 実は陰の立役者は、いら立たしいほど失敗続きだったエイズウイルス(HIV)感染予防ワクチンの研究だ。コロナの治療薬やワクチンで使用されている新たな技術やアプローチは、元をたどると、1980年代初頭から始まったエイズワクチンの開発にたどり着く。これまでエイズによる死者は世界で3300万人に上り、現在も3800万人が感染している。予防ワクチンは存在しない。だが米国は1982年以降、治療法の開発に760億ドル(7兆8800億円)以上を投資。これが背後で、コロナを含めた他のウイルスに対するワクチンや治療薬の開発にも画期的な進展をもたらしている。
コロナワクチンの開発、エイズ研究の挫折が結実
新技術やアプローチは元をたどると80年代初頭から始まったエイズワクチンの開発にたどり着く
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