現場で役立つ会計術#10
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日本の「ROE(自己資本利益率)経営」の主導者として知られ、ファイナンスの研究者の顔も持つのがエーザイCFO(最高財務責任者)兼早稲田大学客員教授の柳良平氏だ。特集『現場で役立つ会計術』(全17回)の#10では、このほど同氏がROEとESG(環境・社会・ガバナンス)の関係に着目し、新たに見出したという「ROESG」モデルについて、現場の理解を促すため労働組合に掛け合ったなどのエピソードも交えて解説する。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)

「ESG×ROE」=「ROESG」
現場に根付かせる取り組みとは?

 今や産業界で大ブームの「ESG(環境・社会・ガバナンス)」という言葉を聞いたことがある人は多いだろう。では、経営指標のROE(自己資本利益率)とESGを結び付けた「ROESG」についてはどうだろうか。

 実はこのほど、それまで直接的な関係性があると考えられてこなかったROEとESGについて、自社データを用いることでその親和性を実証したと主張するCFO(最高財務責任者)がいる。日本の「ROE経営」の主導者として知られ、ファイナンスの研究者の顔も持つエーザイCFO兼早稲田大学客員教授の柳良平氏だ。ここでは本特集で言及してきた企業事例の中でも応用編として、次ページ以降、その新たな研究成果の内実をひもといていく。

 さらに、エーザイがKPIに掲げるROEは、本特集#2『日本企業の注目指標はROEから○○へ、100社超の調査で判明「次のKPI」』でも述べたように、現場にそのままでは落とし込みにくい指標だ。この発展形であるROESGとなればなおさらだが、その重要性を従業員たちに理解してもらうため、柳氏が労働組合に直接説明に行き、納得を得ようと試みたという具体例を紹介。経営者目線でいかにKPI(重要業績指標)を現場に根付かせるかを巡る、直近のエピソードを交えて解説していこう。