現場で役立つ会計術#16Photo:yuoak/gettyimages

ベストセラー会計本『世界一楽しい決算書の読み方』の著者、大手町のランダムウォーカー作の会計クイズ!特集『現場で役立つ会計術』(全17回)の#16は、会社の経営成績を表す「損益計算書(PL)」にまつわるクイズを出題。ファミリーマートやZOZOの財務データがどれか当ててみよう。(ダイヤモンド編集部 塙 花梨)

このページを読めばクイズは解ける!?
【第1問】ファミリーマートはどれか

 以下の問題を解いてみよう。

 決算書を読むメリットは本特集#14で説明したが、会計を理解するための基本中の基本に「財務3表」がある。財務3表とは、「貸借対照表(BS)」「損益計算書(PL)」「キャッシュフロー計算書(CF)」の三つの報告書のこと。これが、その企業の「過去と現在」の状態を表し、正確に企業の実態を把握する“道具”として利用される。

 今回はその中の「損益計算書(PL)」にまつわるクイズである。

損益計算書はずばり「企業の成績表」
収益・費用・利益&損失の3ポイント!

 損益計算書とは、「企業が1年間の活動の中で、幾ら売り上げて、幾ら費用がかかったのか、そしてその結果、幾ら利益が出たのかを記録したもの」だ。ずばり、「もうかったかどうかに関する情報」をまとめた企業の成績表のことだ。

 英語では、「プロフィット&ロス・ステートメント(Profit&Loss Statement)」といい、日本でもこの頭文字を取って「PL」と呼ばれることが多い。

 PLに記載されている情報は、大きく分けて三つだ。

(1)収益…企業が1年間に売り上げた金額や、受け取る利息や配当金など
(2)費用…従業員の給料や、広告費用など、企業が1年間にかけた費用
(3)利益や損失…収益と費用の差で計算する。この数字を見ることで、その企業がもうかっているかどうかが分かる。

 また、費用の合計額と収益の合計額には差が生じるが、この差が「利益」または「損失」になる。だから、収益の合計額と、費用と利益または損失の合計額は一致する。

 実際のPLを見るとたくさん項目があり、難しい単語に出合うかもしれない。そんなときは、(1)収益(2)費用(3)利益or損失の三つのうち、どの要素に当たるかに立ち戻って考えるようにしよう。

押さえておきたい「五つの利益」
会社の努力で分かれている

 PLには利益という単語がたくさん出てくる。それぞれ意味が異なるので、各利益の意味を確認し、PLの全体像を把握していこう。

(1)売上総利益

 売上総利益は、売上高から原価を差し引いて算出される。粗利益や粗利とも呼ばれるもの。

(2)営業利益

 一般的に使われる「利益」という言葉は、営業利益を指している場合が多い。売上総利益から販管費(=販売費および一般管理費)を差し引いて算出される。

 ビジネスでは、商品の原価以外にも、販売活動や管理活動において一定額の費用が発生する。そのため、この費用を含めて営業利益を計算することで、本業の本当のもうけが分かるのだ。

 また、販管費は売り上げを獲得するために、どれだけ企業が努力したのかを表示する項目。広告宣伝費や従業員の給料、運送費など、商品を売るために間接的にかかった費用のことを指す。

(3)経常利益

 経常利益は「会社の実力が一番反映される利益」だといわれている。本業で獲得した営業利益に、本業以外で獲得した収益(営業外収益)を加算し、費用(営業外費用)を控除して算出する。

 例えば、本業以外で継続的に株取引を行っている会社の場合、株取引により利益(損失)を生めばそれは会社の利益(損失)となるが、本業でもうけているわけではない。こういったものが、収益や費用に計上して算出されるのが経常利益だ。これらは全て、継続的に行われる活動により獲得したものなので、会社の実力が一番反映されるのだ。

(4)税引き前当期純利益/(5)当期純利益

 税引き前当期純利益は、特定の期間に発生した全ての事象を加味して算出された利益のこと。経常利益に、特別損益のような毎回は発生しない事象(火災損失や事業の売却など)から発生した利益や損失を加算・控除して算出する。

 また、この税引き前当期純利益から、法人税などの税金コストを控除すると、五つ目の「当期純利益」となる。

 上図のように、売上高から各種の発生した費用を引いていき、最後に当期純利益が残るイメージだ。

 では改めて冒頭のクイズにチャレンジしてみよう。次のページでは、答えと解説を示し、そして会計クイズ(PL編)の第2問を出題する。

〈ヒント〉
・今回比較するのは、「コンビニ」と「ドラッグストア」と「飲食」。それぞれのビジネスモデルを想像してみよう。
・売上原価が極端に低い(3)は、どんな業種?
・販管費(給料や運送費、広告宣伝費)の割合の違いにも注目。