“非資源”案件としては商社でも過去最大の投資額を掲げ、世界の穀物市場に打って出る丸紅だが、そこにはいくつものハードルが立ちはだかっている。

「今後は、非資源分野が利益成長を牽引していくイメージだ」──。そう力を込めるのは朝田照男・丸紅社長だ。

 丸紅は5月、約2900億円を投じて米国の穀物商社ガビロンを買収する方針を発表した。1721億円の純利益(2012年3月期)を大きく上回る投資額を張ってまで挑む案件に、業界の注目は集まっている。

 ガビロンは、非上場だが米国で第3位の穀物商社。全株式を取得すれば、丸紅の年間穀物取扱量は4000万トン規模に及び、世界首位の穀物メジャー、米カーギルに並ぶ。

 この巨額投資を推し進めるのは、穀物のトレーディング部隊などを束ねる食料部門。過去5年間で穀物取引からの収益を5倍にするなど、1721億円の過去最高益をたたき出した丸紅の躍進を支えている“非資源”部門のひとつだ。会社の見通しによれば、今期は純利益目標2000億円のうちの1割を稼ぎ出す。

 実は丸紅の純利益構成は、他の商社とは一線を画している。図(1)をご覧いただきたい。三井物産との純利益構成比を示した。

 三井物産は、エネルギーや金属などの資源分野から得られる利益の割合が全体の約7割を占める。対する丸紅は4割程度と“非資源”部門の割合が大きいことが特徴だ。