ダイヤモンド編集部の恒例企画となった「中小キラリ農家ベスト20」――。ずばぬけたビジネスモデルや独自の経営哲学を持つ中小農家をランキングしたものだ。今年の首位はバイオテクノロジーで国産のバナナやコーヒーの栽培を可能にし、その苗を1株3万円で売る「異次元」の農家だ。特集『JA陥落 農業沸騰』(全21回)の#6では、全国トップクラスの高収益農家に、儲かる秘訣を公開してもらった。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)
不足する熱帯産バナナ、コーヒーを
無農薬の国産品で代替する
JR岡山駅の駅ビルに一風変わった食品売り場がある。県内で収穫されたバナナが1本1000円、桐箱入りのものは5本1万円という超高値で販売されているのだ。
一般的には、輸入品のバナナは未熟な状態で収穫して輸送中に熟して店頭に並ぶ。それに対して、国産バナナは熟してから収穫するので甘味が強く、しかも無農薬なので皮まで食べられる。
しかし本来、熱帯作物のバナナを比較的寒冷な日本で栽培するのは難しい。その難題をクリアした農家が岡山県のD&Tファームだ。ダイヤモンド編集部が単位面積当たりの収益力を重視して選定した「中小キラリ農家」ランキングの最新版でトップに立った。
バイオテクノロジーの力でバナナやコーヒーを栽培し、輸入品のシェアを奪うことに商機を見いだしたD&Tファームの「儲かる農業」の秘密を見ていこう。