JA陥落 農業沸騰#15Photo by Hirobumi Senbongi,da-kuk/gettyimages

大企業の農業参入が相次いでいるが、その実、有力農家は企業のことを「儲からなければすぐに農業事業から撤退する」と冷めた目で見ているものだ。そんな中、NTT東日本は農家の企業に対する不信感を払拭し、農家支援の事例を着々と増やしている。特集『JA陥落 農業沸騰』(全21回)の#15では、農業プラットフォーマーの覇権争いに名乗りを上げたNTTの野望に迫る。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)

農家とレベニューシェアで
売上高50億円を目指す

 NTTグループが大再編を機に、「本業」といっていいほど本気で農業ビジネスに取り組んでいる。

 NTTドコモの完全子会社化をはじめとするNTTグループ大再編の目的は大きく二つある(詳細は特集『デジタル貧国の覇者 NTT』#2『NTT澤田社長が描く「ドコモ征服」の次、グループ最終形を大胆予想』参照)。

 一つ目は、グローバルにおいて米国のGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)などにデジタル技術で対抗できるようにすること。二つ目はローカルにソリューションを展開し、高齢化や人口減少といった社会課題を解決する「デジタル技術の実装」である。

 そして、NTTグループで地域に通信インフラを提供しているNTT東日本とNTT西日本が、デジタル技術の実装が遅れている「農業」に注力しているのだ。

 地方の経済基盤の弱体化は、地域に根を張るNTT東西の凋落に直結する運命にある。そのため、NTT東西は「自分ごと」として、農業の活性化で地方経済を盛り上げようとしているのだ。

 では、農業初心者のNTTグループはどのような強みを発揮できるのだろうか。