有力農家から選ばれなければ、農協の未来はない。ダイヤモンド編集部が作成した「JA支持率ランキング」上位の農協は、過去の慣習にとらわれず、農家目線で改革を実行していた。特集『JA陥落 農業沸騰』(全21回)の#7では、農家から支持を得た農協と、農家に見放された農協の実力格差をデータで浮き彫りにする。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)
首位は米価安の影響を受けない
環境保全米で有名なあの農協
「JA支持率ランキング」を今年もお届けする。このランキングは、「毎年3月になると組合長が、『今年はうちの農協は何位だろうか』とそわそわし始め、『週刊ダイヤモンド』の農業特集が発売されると職員を書店に買いに走らせる」(農協職員)というぐらいJAグループから注目されているものだ。
注目される理由は、このランキングが農家からの支持度と経営健全度の両方を加味しており、農協の実力をダイレクトに反映しているといえるからだ。
ランキングの評価基準は、農協が存続するための二つの必須条件である、(1)有力農家からの支持の有無、(2)大幅減益が避けられない金融事業に依存せず、農業関連事業でしっかり稼げているか――を重視して設定した。
(1)を評価するために、ダイヤモンド編集部による「担い手農家アンケート」で得た農家1763人の回答を基に、農協ごとの「支持度偏差値」を割り出した。農協の「農産物の販売力」や、「役員に担い手農家を登用しているか」などへの農家の満足度を表している。
また、(2)を見る指標として、「農業関連事業の収益性」や「自己資本比率」といった財務データから「経営健全度」を算出した。
これら支持度偏差値と経営健全度を合わせた「総合偏差値」で順位を付けたのがJA支持率ランキングだ。
それでは、トップの“有望農協”から、最下位の“絶望農協”まで全107JAを見ていこう。