22年卒は決して就職難ではないが
第一志望群への入社は難しい可能性
では、内定獲得のタイミングについては焦る必要がないと分かった上で、実際に22年卒学生がこのコロナ禍で就職難に直面する可能性はあるのだろうか。
まず前提として、これまでの大卒求人倍率(リクルートワークス研究所の調査)を見ていくと、21年卒学生は1.53倍となっており、確かに20年卒学生の1.83倍より0.3ポイント低下した。しかし、2000年の就職氷河期の0.99倍やリーマンショック後の12年の1.23倍と比較すれば、その影響は限定的といえる。
まだ22年卒学生の大卒求人倍率は明らかになっていないものの、増本所長は22年卒学生の企業の採用予定数について、「21年卒と同水準になるだろう」と分析する。前出の『就職白書2021』によると、21年卒学生の採用予定数が「1~2人」から「20~49人」だった全ての企業群において、22年卒では採用人数を増加させる予定であることが分かっている。ただし、「50人以上」採用していた企業に関しては、前年よりも平均で2.7人採用予定数を減らすという。
21年卒と比較した22年卒の採用基準については、「21年卒並み」が73.6%と最も多く、「厳しくなる」が16.1%だった。採用予定数が少なくなっている一方で、応募数の多い大企業を中心に、採用基準がより厳しくなるとみていいだろう。
これらのデータを踏まえれば、過去の就職氷河期のように、一律に企業業績が悪化して採用が絞られるわけではなさそうだ。前出のすでに内定出しが進んでいる情報通信業などを中心に、採用意欲は引き続き強いと考えられる。
「就職難とはとてもいえないが、大企業などを中心とした多くの学生の意中の会社、すなわち第一志望群の企業に入るのは難しい。それが22年卒の就活になるだろう」(増本所長)