友達ゼロ、人見知りでも偶然からの幸運をつかめる社交術「ふとした偶然をきっかけに人生が変わるような幸運を得ること」を、「セレンディピティ」と言います(写真はイメージです) Photo:PIXTA

レビュー

 本書『人見知りでもセレンディピティ 身近な奇跡が爆増する20のルール』は、偶然をきっかけに発生する幸運=「セレンディピティ」といかに出会うのか、その確率を高める技法について述べたものである。「セレンディピティ」と聞くと、スピリチュアルなアプローチを想像される方も多いかもしれない。だが本書に記された内容は、むしろ実直なコミュニケーション術に近い。

 本書の著者は、Googleでの勤務期間中に部活動の企画を開催したことがきっかけで、社内に心を許せる仲間が増えていったという。このような「何らかのきっかけを始点として、自らアクションを起こす」ことの重要性が、本書では何度も強調される。ただ偶然に出会うだけではなく、その偶然を好機と認識し、よい結果を勝ち取る。そうした行動をとれるかどうかが、その後の人生の行く末を大きく分けるという。

 記されている内容は難しいものではない。著者の実体験をもとにしつつ、平易な文章でセレンディピティを発生させる具体的なコツが、いくつも述べられている。その多くはシンプルなもので、読んだその日から実行できるだろう。「人見知りでも、コミュニケーションがうまくいっている人の成功例を知りたい」、「人見知りだけど、もっと人と関わりながら楽しい経験を増やしたい」という考えで本をお探しの方に、イチオシの一冊である。(狩野詔子)