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1カ月以上の臨時休業で売り上げは大幅減。今後も営業を制限せざるを得ないのが百貨店だが、三越伊勢丹HDはリーダーシップの危機にも見舞われている。『ポストコロナ「勝ち組」の条件』(全18回)の#8では、後手後手の判断が“反乱”にまで発展した背景を探るとともに、大手百貨店の売り上げ減少への耐久力を試算した。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)

「週刊ダイヤモンド」2020年6月20日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

 「社員同士の和がない企業では、お客さまとの和もなくなり、トラブルが続発する」――。「ファッションの伊勢丹」の基礎をつくり上げ、旧伊勢丹専務から松屋社長に転じて経営を立て直し、東武百貨店社長も務めた“ミスター百貨店”、故山中鏆氏はかつて、社員にこう語っていたという。

 コロナ禍で甚大なダメージを受けている百貨店業界。緊急事態宣言を受けて都心のほとんどの売り場が臨時休業し、売上高は8~9割減となって経営を揺るがす“非常事態”に陥っている。

 こうした中、リーダーシップの在り方を問われる状況に直面したのが、三越伊勢丹ホールディングス(HD)の杉江俊彦社長である。

 「伊勢丹で働いてるけど、今週末の時短営業には絶望」――。

 3月28~29日、首都圏の主要店舗の営業の有無について、高島屋は臨時休業、大丸松坂屋百貨店は29日のみ臨時休業と決めた。ところが、三越伊勢丹HDは、両日の時短営業を決行したのだ。

 その結果、不満を抱いた同社社員や店舗従業員のものとみられる抗議の書き込みがツイッターに投稿され、署名運動サイトでは、幹部の辞任と従業員への現金給付を求める動きまで起きた。