米国の農家に一時的だが新たな苦境が訪れようとしている。その原因は、環太平洋経済連携協定(TPP)を離脱した米国の4年前の決定にある。復帰は難しいかもしれないが、当初のTPP交渉時より現在はさらに参加すべき根拠が強まっている。米国の肉牛農家にとって最大の市場である日本で、米国産牛肉の輸入関税が30日間、38.5%に引き上げられる。通常の関税は25.8%だ。日米交渉で取り決められた基準量を輸入量が超えたための措置となる。米国農家の主な競争国であるニュージーランドやカナダ、オーストラリアの農家にはこうした問題は発生しない。3カ国とも、米国抜きで発進した「環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)」に加盟しているためだ。いずれも冷蔵・冷凍牛肉の関税は当初の25.8%から段階的に引き下げられ、2033年には9%となる。関税が唐突に引き上げられる緊急輸入制限(セーフガード)の発動対象とはならない。