一つ目が「耐熱性芽胞型」の納豆菌を使っている点だ。

「納豆菌を特殊製法とフリーズドライ加工により、熱や酸に強い芽胞型に変換する技術を生み出し、できた粉末の分析を日本食品分析センターに依頼しました」(刑部氏)

 人工胃酸を使った同センターの結果を受け、パッケージにも腸まで届く納豆菌の数(1日2粒で約20億個)を表示しているのがポイントだという。

 二つ目が植物性ナノ型乳酸菌を配合していること。長野・木曽地方の名物である、塩を使わない漬物・すんき漬け由来の乳酸菌を体に吸収しやすいナノサイズに加工。オリゴ糖と共に加えている。

 三つ目が、納豆を丸ごとフリーズドライ加工しているため、納豆本来の栄養を摂取できることだ。開発当時、納豆菌やナットウキナーゼ(納豆に含まれるタンパク質分解酵素)のサプリメントはあったものの、納豆そのものを粉末にした製品はなかったとか。

 その他、食物繊維でできたカプセルを使い、国内の一定の品質管理基準を満たしたことを示すGMP工場で製造するなど、安全性や品質管理にも注力している。

納豆の栄養素を手軽に摂取できるサプリメントで注目を集める納豆のカロリーを気にせず、手軽に納豆の栄養素を摂取できる「おなかなっとく」。カプセルの原料も食物繊維を使用
●株式会社コウハク 事業内容/自然食品・化粧品販売、サプリメントの開発販売、従業員数/11人、売上高/9803.6万円(2019年度)、 所在地/静岡県浜松市東区有玉西町2418-10、電話/053-479-2211、URL/famiyu-kouhaku.jp

「経営革新計画」の承認を得て
ネットでの拡販にも注力

 こうしたこだわりや独自の技術開発に取り組んだ結果が認められ、中小企業新事業活動促進法に基づく「静岡県経営革新計画」の承認を獲得。補助金などの支援策を活用し、店頭や販売代理店での販売に加え、通信販売にも力を入れる。「15年には『47クラブ』という通販サイトの健康食品部門で全国売り上げ1位を獲得しました」(刑部氏)。新たなチャレンジが実を結んだ格好だ。

 もう一つの事業の柱である化粧品販売事業は対面販売が基本であるため、20年はコロナ禍により売り上げ減を強いられた。だが、「創業以来のミッションでもある自然由来の素材にこだわるという軸はぶれることなく、Webサイトやオンラインでより広い世代にPRするなど、変革にも取り組んでいきます」と刑部氏は力強く語る。

 安全安心な生活へのこだわりがより高まりを見せる中、同社の新たな展開にも注目したい。

(「しんきん経営情報」2021年2月号掲載、協力/遠州信用金庫