平井陽一朗(BCGデジタルベンチャーズ マネージング・ディレクター&パートナー ジャパンヘッド)平井陽一朗(BCGデジタルベンチャーズ マネージング・ディレクター&パートナー アジア大洋州 兼 日本代表)

 さて、当連載も最終回を迎えることができた。今回は全体を振り返ったうえで、DXを進めるために必要なアクションをまとめたい。

企業変革を阻む5つの壁と、4つの処方箋

 当連載は「企業変革のレシピ」を全体テーマとし、大企業の変革をはばむ5つの壁と、4つの処方箋を紹介してきた。詳細は各記事をご覧いただければと思うが、私が特に強調したいのは、大企業は自社のアセットを活用し、ほかの企業には真似できない「アンフェア・アドバンテージ」の構築に注力すべきということ、一発必中を狙って議論や検討を重ねるよりも、複数案件を同時並行で実施し、早期に失敗(フェイル・ファスト)する中から成功の芽をつかむということ、そして、これらを通じて組織能力を獲得し、新たな取り組みを継続するための体制や土壌づくりにつなげること、この3点である。

企業変革を阻む5つの壁第2回より再掲)
1.トップやトップ層が人事異動でコロコロと変わる上に、組織が縦割りであること
2.意思決定層のデジタルリテラシーの低さ
3.四半期決算開示に起因する短視眼的な経営
4.日本型CEOの低報酬、長期インセンティブ比率の低さ
5.既得権益層の「逃げ切り」思考
企業変革 4つの処方箋第6回より再掲)
処方箋1.スピード感をもって「勝負する土俵」を見極める
処方箋2.必要な組織能力を見極め、獲得する
処方箋3.獲得した人材が能力を発揮できる土壌をつくる
処方箋4.ぶれずに、やり続ける