妻は借金をするほどに追い詰められた
“経済的DV”といえるケースも

 気が付いたときには、利用上限額いっぱいまでクレジットカードを使っていました。私が支出の状況を見たところ、食費など節約ができると思える部分は多少ありましたが、極端に多いわけではありません。本当にやむを得ず、クレジットカードを利用していたと思えるのです。

 ご自分で支払うことができなければ、法律家の下で債務整理をすることを考えるのですが、Mさんの家庭には十分な収入があります。収入と支出の全体を見て、今後の返済が可能なのか検討すべきなのですが、妻は夫に話しにくいようです。

 結局、妻には借り入れがあることだけを夫に伝え、その解決のためにと私のところに一緒に連れてきてもらいました。Mさんははじめ、妻のしたことにかなり憤慨していましたが、今までの状況を数字も用いながら客観的に伝えていくと、がっくりと落ち込んだ様子に一転しました。自分が正しいと思ってやっていた生活費の制限が、妻と子どもたちの生活を苦しくさせた揚げ句、借金まで作らせてしまっていたことを理解したのです。

 稼ぎのある夫は、自分の稼いだお金を大切に使いたいという思いもあるせいか、妻へ渡す生活費が極端に少ないというケースが時々見られます。経済的DVと言えるのではないか、と思えるほどです。

 これもまた、お金の使い方について適切な共有ができておらず、互いの価値観に信頼を置ける関係性を作れていないことが原因の一つであると思えます。

 家計管理はどのような形でもいいので、ご夫婦間でお金の話ができる風通しの良い状況を作りましょう。それが問題を起こさない、しかもお金がたまる上手な家計管理の方法なのです。