他の勉強は普通にできるのに、計算や数学的な推論を行うのがめっきり苦手。そんな人はもしかしたら、現在国内で40~50人に1人程度の割合で存在するとされる「算数障害」なのかもしれない。発達障害心理学を専門とする筑波大学教授の熊谷恵子氏にその特徴と向き合い方について聞いた。(清談社 山田剛志)
算数障害の人数は
全国で推定約300万人か
学習障害を抱えている人は、全体的な知的水準は低くないにもかかわらず、特定のスキルを学んだり、遂行したりすることに著しい困難が生じることで知られている。算数障害もその一種だ。
脳機能の先天的な問題により、「計算する・推論する」能力が突出して低く、基本的な四則演算(足し算・引き算・掛け算・割り算)を理解するのも困難だとされている。
2012年に行われた文部科学省の調査では、小中学生では2.3%ほど存在するとされる。基本的には生まれながらにしてその状態にあるので国民全体に拡大して推定すると、その数約300万人。義務教育課程で発見されるケースがほとんどだが、同じ学習障害であっても、文字の読み書きの正確性や流ちょう性に問題が生じる「読み書き障害」に比べ、自覚を持たないまま大人になる人は多いのではないか。