ファイザー製ワクチン接種の7700万人
感染率0.008%、死亡率0.0001%

「ワクチンは信用できるのか?」

 ワクチン接種に否定的な人に、何度か聞かれた質問です。私は信用できると考えています。しかし、100%信用できるかと聞かれたら分かりません。歴史が教えてくれるのを待つしかありません。

 現在日本で接種可能な米ファイザーのワクチンにおいては、発症リスクを95%防ぎ、重症化を94%減らすことができると米疾病対策センター(CDC)は発表しています。米国でのデータになりますが、このワクチンを接種した7700万人のうち新型コロナ感染症に感染したのは5800人、重症化したのは396人、亡くなったのは74人。つまり、感染率は0.008%、重症化率は0.0005%、死亡率は0.0001%ということです。このワクチンは新型コロナ感染症に対してはかなり有効であるといえるでしょう。

 またイスラエルで行われた研究では、コロナワクチンを接種した人は新型コロナ感染症に発症した場合もウイルス量が少なくなることが分かっています。一般的にウイルス量が少ないほど周囲に感染しにくいことから、ワクチン接種後の感染者からは感染が広がりにくいことが示唆されます。

 もちろん、現在猛威を振るっている新型コロナの変異株に対しても同じ有効性があるのか否かについては、今後の経過を注意深く見ていく必要があります。しかしそれでも、変異株には効かないと結論づけることは、現時点ではできません。

 産業医の私個人としては、毎年インフルエンザや肺炎のワクチンは接種しているにもかかわらず、コロナワクチンだけを嫌がる人については、正直理解に苦しみます。どのような理由があろうとも、嫌がる人に無理やり接種させることには反対ですが、まずは正しい情報を得た上で判断することが大切でしょう。

(2021年5月22日時点の情報です)

武神健之(たけがみ・けんじ)
医師、医学博士、日本医師会認定産業医。一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事。金融業・コンサルティング業・IT業・輸送用機器業・教育業など20以上の外資系企業で年間1000件、通算1万件以上の健康相談やストレス・メンタルヘルス相談を実施。メンタルヘルス対策なのに、楽しく学べる研修で、不安とストレスに悩まない、落ち込まない技術を広めている。