楽天グループが、携帯電話事業の苦戦を脱却する起死回生の切り札として、自社の通信インフラを輸出するベンダービジネスを推進している。大型案件を獲得すれば携帯事業の赤字解消が期待されるが、果たして“大逆転”はあるのか。特集『楽天 底なしの赤字』の番外編で、最前線を追った。(ダイヤモンド編集部 村井令二)
「爆発的な利益」を狙う三木谷社長
携帯劣勢の大逆転シナリオの賭け
「日本の携帯事業と携帯プラットフォームの輸出の両輪が回り出せば、爆発的な利益を生むことができる」
楽天グループの三木谷浩史会長兼社長が、赤字のかさむ携帯電話事業の挽回策として期待を寄せているのが、自社で開発した携帯通信インフラの輸出ビジネスだ。
楽天の携帯電話事業は2020年12月期に2270億円の営業赤字を計上。今期は設備投資が一段と増えるため赤字は拡大する見通しになっている。さらに、NTTドコモなど大手通信事業者3社との料金競争も激化しており、携帯事業の見通しは明るくない。
それでも、三木谷社長は「(携帯事業は)十分に利益が出ると踏んでいる」と、相変わらず強気の姿勢を崩さない。三木谷社長が起死回生の“切り札”として掲げているのが、冒頭の通信インフラ事業だ。
「通信インフラ事業は、将来的に数千億円から1兆円を超える売上高になる」(三木谷社長)と、ここでも大風呂敷を広げている。これだけの売上高が獲得できれば、国内事業の赤字を吹き飛ばして携帯事業全体がたちまち黒字化するのは間違いない。
三木谷社長は第1号案件の獲得が近いと示唆しているが、起死回生の大逆転劇を期す通信インフラ事業とは、一体どんなものなのか。本当に勝算はあるのだろうか。