楽天底なしの赤字#6Photo by Reiji Murai

楽天グループの携帯電話事業をけん引するのは、三木谷浩史会長兼社長のリーダーシップであるのは間違いない。三木谷氏の懐刀である矢澤俊介・楽天グループ常務執行役員(楽天モバイル副社長)は、楽天市場の統括役という要職に就いていたが、今度は、社運を懸ける携帯事業の拡大を任された。特集『楽天 底なしの赤字』(全7回)の最終回では、楽天グループのキーマンを直撃した。(ダイヤモンド編集部 村井令二)

三木谷社長が楽天市場の責任者を
モバイル副社長に抜てきした訳

――矢澤さんは、楽天モバイルの副社長として基地局整備を推進しているということですが、元々は、eコマースの「楽天市場」の責任者でした。

  以前まで楽天グループのeコマース「楽天市場」の事業長をやっていましたが、楽天が基地局の設置の準備中だった2018年10月に楽天モバイルと兼務になりました。その当時は兼務ということなので、あくまでメインはeコマースでした。

  それが翌19年になって、三木谷(浩史会長兼社長)から楽天市場から離れて正式にモバイルでやってほしいと言われ、今は完全にモバイル一本の担当です。

――三木谷さんからはどんな指示があったのでしょうか。

  最初、楽天市場と兼務でモバイルに入ったときに三木谷から言われたのは「基地局の進捗が思うように進まないので、ちょっと見てやってよ」「兼務でいいので」と軽い感じで頼まれたのですが、それが19年にモバイル一本の担当に異動するとなったときは迫力がありました。

  その数日前の夜中に三木谷から連絡があって「やはりモバイルをやるなら基地局の整備が勝負だ。これは本当に負けられない戦いなので、おまえには基地局に専念してやってもらいたい」ということを伝えられ、異動ということになりました。

  三木谷からは「ここは勝負を懸けるぞ」と言われたので、僕としては「分かりました」と答えて、今に至るわけです。

――夜中に電話があったと?