“21世紀の禁酒法”下で奮闘する
飲食店の更なる工夫

 一方で、手の打ちようがないのが飲食店です。いくら新型コロナ予防をしっかりしていても、約2カ月にわたり時短営業を余儀なくされています。それに加えて、主力商品の販売禁止を要請されたのです。

 昨年の最初の緊急事態宣言から始まり、デリバリー、ワンコインランチ、クーポン、SNS、そしてもう客が増えないなら…と逆にコロナで生活が困窮している人に向けた無料の夕食提供まで、やれることはもうほとんどやりつくした状況ではないでしょうか。

 経営コンサルタントのわたしから見ても、もうあまりいい戦略のネタは残っていないように思えますが、それでも最近見かけたさらなる工夫を紹介してみましょう。

 特製弁当の中身は、この一年でかなり変化してきたと思います。昨年はいわゆる普通の弁当を作ってなんとかコロナ苦境をしのいでいた飲食店が、今年はかなり特徴のある弁当の企画に目を向けているようです。

 来店できない常連客に向けて、そのお店のスペシャリテを提供するというのがひとつの流れです。ただ、弁当でありながらちゃんとコースとして食べられるようになっていて、和食であれば自宅で日本酒、イタリアンであればワインを用意すればお店の雰囲気をそのまま味わうことができます。

 それでもお客が来てくれないお店では、医療機関向けに特製弁当を無料提供するお店も増えているといいます。事情や状況は違えども、飲食店も病院も異常事態であるという共通点がある。お互い助け合って、いつかまた一緒に出会えればと、感動ストーリーとしては気持ちよさを感じる話です。