一部の居酒屋では「映え需要」狙いの
クリームソーダまで出現

 別の観点で面白いと思うのは、居酒屋系クリームソーダの登場です。伝統的な喫茶店のメロンソーダではなくて、武骨なビールジョッキにジンジャーエール系の褐色の液体を注ぎ、そこにスクーパーなどの調理器具ですくったアイスクリームをのせる。これが注文してみると、結構“インスタ映え”するわけです。

 この「映え需要」というのも、コロナ苦境下の飲食店にとっては重要な工夫の切り口です。本来であれば、お店に来て写真だけとって30分で帰ってしまうお客さんというのは、飲食店にとって望ましいお客ではないのですが、そんなこともいってはいられないわけです。

 さて、話を戻しますが、やはりこのアルコール提供禁止というのはビジネス環境としては異常です。いっそのことオリンピックを前倒しで6月1日から始めれば、それだけ早く東京都の苦境も終わるんじゃないでしょうか。どうせ、めちゃくちゃなんですし。

これからの飲食業界が生き残るために
いますべきこと

 もうすこし真面目に、評論家として飲食業界を擁護する立場で、生き残るための対策を提言するとしたら、今、飲食業界がすべきことは「赤信号をみんなで渡ること」ではないでしょうか。

 いま、飲食チェーンのトップのお歴々(れきれき)は、いち早く反旗を翻した「グローバルダイニング」をスケープゴートにして、それを傍観している。業界のために本当にそれでいいのかと思います。

 相手は保健所という巨大権力を持っているというのはわかりますが、それでもそろそろ勇気を出して「ぼくもやろう」「わたしもやる」と言い出す「仲間」が出てくる、まさにそのタイミングではないのでしょうか。

 たぶん有力チェーンが五つぐらい反旗を翻せば、流れは変わると思いますよ。都が憲法を順守しなければいけなくなるような、正しく私権が守られる方向に。

(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)