奇妙な暗号資産(仮想通貨)の世界でも、ステーブルコインはとりわけ不可解な存在と言える。仮想通貨システム全般とは、正反対の原則に基づいているためだ。推進派は、ビットコインなど仮想通貨が政府発行の「不換」通貨に取って代わるとする一方で、仮想通貨を支えている革新的なブロックチェーン(分散型台帳)の目的は、考案者とされるサトシ・ナカモトの言う「信頼に基づくモデルに特有のぜい弱性」を克服することだと主張している。しかしながら、ステーブルコイン、とりわけテザーは人気を集めている。テザーの発行残高は600億ドル(約6兆6000億円)と、仮想通貨の時価総額ランキングでビットコイン、イーサリアムに次ぐ3位だ。フェイスブックのリブラ(昨年「ディエム」に改名)など、他にも複数の通貨を裏付けとするステーブルコインへの参入を目指す動きがある。
ステーブルコインの危うさ、米開拓時代にヒント
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