風呂場に入ってから顔、髪、体の順に泡を付けていくのだが、このとき壁に掛けたシャワーがそれぞれ頭、顔、頭に当たるよう、体の位置と向きを調整していく。シャワーを一度も手に取らないのがポイントだ。こうすると洗い流しが最初から最後までずっと自動で行われ、両手は常に泡を付ける作業に終始することになる。
 
 風呂場から出る直前のシャワーを当てる位置は頭、顔、上半身と、上から順に下がっていくようにするが、最後の下半身にシャワーを当てているときすでにタオルを手に取っていて、頭と上半身を拭き始めている。シャワーを浴びながら同時に体を拭くというこの究極の所業が、“5分風呂”の最終形態である。
 
 これを行ったところ、風呂に入ってから出るまで、手をたいして早く動かしていないのにもかかわらず、なんと4分を記録した。かくして“5分風呂”は滑稽な物言いではなく、むしろ謙遜すら含んだ超絶時短テクとして生まれ変わったのであった。
 
 こう説明すると簡単に思えるかもしれないが、これを完璧に遂行するには相当な集中力を要する。やはりシャワーが気持ちいいと、一瞬うっとり浴びるがままになったりしがちなので、“5分風呂”を達成するにはそうしたロスを徹底して排する強靭な意志の力が必要不可欠なのである。 

筋トレと時短の親和性
革新的なアプローチも

 続いて紹介するのは、Aさん(40歳男性)。彼は若い頃から自分を精神的、肉体的に鍛え上げるのが趣味であった。その異常なストイックぶりが周囲からもからかわれるほどで、現在は筋トレ的なエクササイズに精を出しているようである。
 
 時短テクとして、まずAさんは日課として「空気椅子で歯みがき」を行っている。歯みがきの時間を有効活用し、同時にエクササイズに取り組もうというアイデアである。好意的な目で見れば「さすがナイスミドル、がんばっているなあ」と思える。しかし、Aさん日課の時短エクササイズにはもう一つあって、そこまで行くとちょっと雲行きが怪しい。

 それが、「髪を洗いながらスクワット」というのである。