風呂での飲食物の摂取といえば、“露天風呂で一献”や“半身浴中にスイーツ”程度が考えられるが、Bさんのそれは時短テクであり、そういったリラクゼーションに属する入浴法とはわけが違う。
 
 食事は湯船につかった状態で行われるが、「風呂飯に適しているのは固形物」だそうで、反対に流動性の高い食品、たとえば汁物などはこぼしたときの損害が大きく、湯船全体がみそ汁化するリスクもあり、危険とのことである。
 
 また、Bさんが展開する“風呂飯”という領域の中では「落としても5秒以内なら問題なし」という独自ルールが適用される。あんな水浸しの床に食品を落とせばダメージは相当であると推測されるのにそれを食べようとする姿勢と、また食べ物を落とした際に一般でよく適用される“3秒ルール”より延長されているゆとり2秒分から、ナイスミドルの懐の深さ・広さがうかがえる。
 
 以上が、ナイスミドルたちが実践する時短テクである。おそらくこれも氷山の一角にすぎず、世のナイスミドルたちは他にも、ものすごいテクを有しているに違いない。
 
「そこまでして時短する必要はある…?」と思われる向きもあるかもしれないが、これはナイスミドルを代表して「ある」と断言させていただきたい。時短は効率性を求めるものだけにとどまらず、ロマンであり、生きざまであり、そしてその人そのものである。
 
 蛇足だが、今回の調査によって「ナイスミドルは風呂と歯みがきで時短に走りがち」ということもわかった。これはすなわち風呂と歯みがきに無限の可能性が秘められていることを示唆しており、この分野は今後も研究・開発が続けられていくであろう。未来がますます楽しみである。