スルガ銀行は3年で100万円超ダウン
ノジマとの決別は幸か不幸か

 ランキングを見ていくと、1位から17位のふくおかフィナンシャルグループまでが持ち株会社となっている。

 その意味では、18位のあおぞら銀行(793万円)、19位の新生銀行(772万円)、20位の静岡銀行(736万円)、21位の千葉銀行(734万円)といった顔触れこそが、事業会社としての銀行に勤める一般行員が受け取れる年収を、より的確に表しているといえる。

 あおぞら銀行と新生銀行は、旧長期信用銀行の流れをくむ。両行はかつて、2010年に合併することを目指していたが、双方の経営方針が対立し、合併解消に至った経緯を持つ。静岡銀行と千葉銀行は言わずと知れた「優良地銀」である。

 25位は静岡県第2位の地銀、スルガ銀行で、年収は694.7万円。投資用不動産向け融資を巡る不正の発覚をきっかけに経営難に陥り、19年には創業家の保有株(13%強)を、家電量販大手のノジマが取得(保有比率18%強で筆頭株主)。翌20年には資本業務提携を結び、スルガ銀の副会長にノジマの野島広司社長が就任した。

 そんな再建途上にある同行の平均年収は、17年には800万円超だったが、ついに700万円を切ってしまった。

 そして5月27日、スルガ銀とノジマの関係は新たな展開を迎える。2社は経営方針の違いや取締役人事を巡って対立し、野島社長がスルガ銀行の副会長を退任すると発表。資本業務提携の解消に向けた協議に入ることも明らかになった。

 ノジマが保有するスルガ銀の株がどのように売却されるか次第で、同行の再建の行方は変わる。さらなる年収減があるのか、行員は固唾をのんで見守っていることだろう。