外部の有識者で構成された特別調査委員会も、小林化工について「一連の問題の根幹にあったのはやはり、スケジュールに追われる中での時間的・人員的余裕のなさだったようだ」(日刊薬業)と調査報告書の中で述べており、日医工に対しても「14年から16年にかけて生産数量や品目が急増し、人員・設備が整わず不適切な出荷試験結果処理が増えた」(日刊薬業)と外部の調査報告書に記載されている。

 制度的には、2005年の薬事法改正の影響も大きいようだ。

「それ以前の制度では、医薬品販売を行う業者は、製造工場を持つことが義務付けられていたのに対し、改正後は全ての製造工程を外部業者に委託することができ、販売と製造を完全分離することが可能となりました」

 つまり、工場と販売が分離され、大幅なコスト削減が可能になったおかげで、ジェネリックメーカーがなんと200社以上も誕生。市場は一気に拡大したが、そのほとんどは工場を持たない販売業者だった。

「この薬事法改正は確かに市場拡大には貢献したものの、市場競争を激化させ、そのしわ寄せが小林化工や日医工のような工場を持っている企業に行ってしまったことは否定できません。

 2021年現在、目標80%はほとんど達成されたので、政府は今、次の目標を立てています。しかし『90%を目指そう』なんていう馬鹿なことはやめて80%に据え置き、今後は品質基準の向上に重点を置くべきだと思います」

 加えて、メーカーを監督指導する行政の体制にも問題はある。両社には県の薬事監視員が立ち入り調査を行っていたが、不正を見抜くことはできなかった。

「偽資料を作成してごまかしたんですね。一般企業でも監査法人がごまかされることがあるのと一緒です。不正を見抜くのが監査法人の仕事ですが、ジェネリックの場合、県の監査法人の数も少ないし、スキルの向上も必要です」