米少子化の現実が迫る議論、出産を奨励すべきか
Photo:Anna Moneymaker/gettyimages

――筆者のジェラルド・F・サイブはWSJエグゼクティブ・ワシントン・エディター

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 米国の公共政策担当者は目下、居心地の悪い、新たな議論へと向かっている。着実に低下傾向をたどる出生率を踏まえ、政府が果たして出産奨励に特化したインセンティブを提供すべきかどうかという問題だ。

 子育て世帯の暮らしを支援する政策については、すでに策定に向けた機運が超党派で高まっている。子育て世帯への税控除、公的資金による幼児教育、マリッジペナルティー(共稼ぎ夫婦への適用税率が高くなる措置)の廃止――。これらはいずれも、若い親や世帯の暮らしを支援することが目的だ。

 だが、ここにきて議論の行方は、政府がさらに踏み込み、金銭的な刺激や新たなサービスを通じて、そもそも出産数を増やすことの利点やコストへと向かいつつある。物議をかもすこのテーマを巡っては、左派、右派の双方で議論が盛り上がっている。だが、国家全体のコンセンサスには何ら近づいておらず、政府が少子化対策を実施しても、出生率の押し上げにはつながらないとの懐疑論も根強い。

 議論のきっかけとなったのは、5月に公表された連邦政府の公式統計だ。昨年の米出生数は40年ぶりの水準に低下。さらに1人の女性が生涯に産む子供の数を示す合計特殊出生率は、政府がデータ収集を開始した1930年代以降で最低水準に落ち込んだ。