今回のG7には文在寅大統領も英国の招待を受けて参加する。G7サミットの機会に日米韓・日韓首脳会談の日程調整が行われているといわれていた。

 しかし、一連の会談の日程調整には進展が見られないとの報道が飛び交っていた。そうしたタイミングで、今回の原告の訴え棄却の判決が急きょ前倒しで出されたのである。

 原告にとって判決の前倒しも、大法院判決に反する判決も寝耳に水であった。極めて異例な判決は政治的な意図を連想させるには十分である。

そもそも大法院判決が
納得できるものではない

 1965年に結ばれた日韓請求権協定には、請求権の問題は「完全かつ最終的に解決」されたものであり「いかなる主張もすることができない」ものとすると規定されている。

 しかし、18年10月30日の新日鉄住金を被告とする裁判の大法院判決は、原告の損害賠償請求権は「日本政府の韓半島(朝鮮半島)に対する不法な植民支配および侵略戦争の遂行と直結した日本企業の反人道的な不法行為を前提とする強制動員被害者(朝鮮半島出身労働者)の日本企業に対する慰謝料請求権」として日韓請求権協定の適用対象に含まれないとして、1人当たり1億ウォンの損害賠償の支払いを命じた。その後の三菱重工に対する判決も同様のものであった。

 これに対して日本政府は韓国側に抗議を申し入れるとともに、国際法違反の状態の是正を求めてきた。

 その後、19年1月9日、原告側による日本企業の財産差し押さえ手続きの申請が認められたのを受け、日本側より日韓請求権協定の解釈および実施に関する紛争が存在するとして、同協定に基づく協議を要請した。しかし、韓国側がこれに応じなかったため、協定に基づく仲裁付託を韓国側に通告した。

 これにも韓国政府は応じていない。