自分の感情、
心の動きをひも解いてみる

 では、どうしたらいいのでしょうか。

 まずなによりも大切なことは、自分の感情、心の動きをひも解いてみることです。できれば、誰か信頼できる相手がいればベストでしょう。

 自分自身は一つの考えしかできない。自分は一人しかいないからだと思っている人も多いかもしれません。

 しかし、自分に対して自分なりに別の角度から光を当ててみると、自分という存在は、様々な角度から一つの出来事について考えていることに驚くかもしれません。

 先のマネジャーであれば、目の前で部下が動かない状況に対して「部下が動かない。どうしたらいいだろう」と言っているものの、実際にはそれだけを考えているわけではありません。もっといろいろ考えてはいるのです。

 マネジャーが「どうして部下が思ったような行動をしないのか」という困りごとを抱えているときに、何を感じているのでしょうか? 部下が自分についてこないことへの恐れや不安でしょうか。

 もしそうなら、それがどう不安なのでしょうか。

 成果を出さなければならないプレッシャーでしょうか。

 自分の前にマネジャーだった先輩はうまくやっていたのに、自分は成果が出せないみじめさでしょうか。

 同期に出世の遅れを取る焦りでしょうか。

 そうした感情は何を目指しているから生じるのか。

 よい成果を出したいのか。部下に冷たい目線を向けられずに、よいチームワークを築きたいのか。

 では、よいチームワークとは何か。

 きっと思い浮かぶことがたくさんあるはずです。

 人はいろいろ考えていますが、多くは声にならない声としてモヤモヤと抱えています。

 しかし、表に出てくる言葉は、その複雑さに比べたらとても単純です。

 複雑な心の動きや考えを単純化して問題解決してしまうと、モヤモヤが残ってしまいます。

【追伸】「だから、この本。」についても、この本について率直に向き合いました。ぜひご覧いただけたらと思います。

【「だから、この本。」大好評連載】

<第1回> あなたの会社を蝕む6つの「慢性疾患」と「依存症」の知られざる関係
<第2回>【チームの雰囲気をもっと悪くするには?】という“反転の問い”がチームの雰囲気をよくする理由
<第3回> イキイキ・やりがいの対話から変革とイノベーションの対話へ!シビアな時代に生き残る「対話」の力とは?
<第4回> 小さな事件を重大事故にしないできるリーダーの新しい習慣【2 on 2】の対話法

<第5回> 三流リーダーは組織【を】変える、一流リーダーは組織【が】変わる

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体験者が初告白!「私にとって 2 on 2 は、言語化できないモヤモヤの正体が形になって現れた衝撃の体験でした。」

宇田川元一(うだがわ・もとかず)
経営学者/埼玉大学 経済経営系大学院 准教授
1977年、東京都生まれ。2000年、立教大学経済学部卒業。2002年、同大学大学院経済学研究科博士前期課程修了。2006年、明治大学大学院経営学研究科博士後期課程単位取得。
2006年、早稲田大学アジア太平洋研究センター助手。2007年、長崎大学経済学部講師・准教授。2010年、西南学院大学商学部准教授を経て、2016年より埼玉大学大学院人文社会科学研究科(通称:経済経営系大学院)准教授。
専門は、経営戦略論、組織論。ナラティヴ・アプローチに基づいた企業変革、イノベーション推進、戦略開発の研究を行っている。また、大手製造業やスタートアップ企業のイノベーション推進や企業変革のアドバイザーとして、その実践を支援している。著書に『他者と働く――「わかりあえなさ」から始める組織論』(NewsPicksパブリッシング)がある。
日本の人事部「HRアワード2020」書籍部門最優秀賞受賞(『他者と働く』)。2007年度経営学史学会賞(論文部門奨励賞)受賞。