顧客層の中心は、少しお酒にこだわりたい30~40代。酒場で飲むような、こだわりのレモンサワーを自宅で気軽に楽しめることが、多くの顧客に支持されている。アルコール度数や果汁率が異なる5種類を展開しており、自分の好みやその日の気分や食事に合わせて、選択できる幅広いラインナップも人気の理由である。

 まずは18年5月に「定番レモン」「塩レモン」「はちみつレモン」の3種類を九州限定で発売した。テストマーケティングで九州を選んだのは、焼酎文化が根付く九州で認められれば全国で通用すると考えたからだ。19年10月から、全国に販売を一挙に拡大している。

 清涼飲料のノウハウを生かしてチャレンジした「檸檬堂」の成功が、レモンサワーの市場に大きなインパクトをもたらした。

リキュールのヒットを受け
RTDを展開

 サントリーの「こだわり酒場のレモンサワー」は、発売こそ「檸檬堂」より8カ月ほど遅れたが、最初から全国発売だった。「檸檬堂」が九州ローカルのヒット商品から全国に拡大する前に、機先を制した形だ。

 発売してからの反響は大きく、半年後の9月には、19年の販売計画が当初の約4倍の800万ケースへと上方修正された。20年の販売実績は、2453万ケース(250ml缶24本換算)で、前年比151%増と勢いは止まらず、急速に売り上げを伸ばしている。

 ヒットのきっかけは、「こだわり酒場のレモンサワー」の発売の約1年前、18年2月にさかのぼる。同社は飲食店で飲む本格的なレモンサワーを家庭で気軽に楽しんでもらおうと、「こだわり酒場のレモンサワーの素」という商品を発売した。これは500ml瓶入りのリキュールで、好きな分量の炭酸水で割って飲む形式だ。

「こだわり酒場のレモンサワーの素」は、発売から半年後の同年8月には、当初計画の10倍となる30万ケースへと販売計画が上方修正されるほどのヒットとなった。

 開発チームのメンバーが全国の居酒屋やバー約200店を飲み歩いた結果、レモンサワーの決定版として世に問うた味とのことで、業務用としても使われるほど評価が高い。その姉妹商品として開発したRTDの「こだわり酒場のレモンサワー」がヒットしたのは、当然の流れといえよう。