「脱法」スロットに足を運ぶサラリーマンも
当然ながら、「闇スロ」店は、ただ客を楽しませて、得をさせる「お人好し」ではなく、「客が離れない程度」にしか還元されない。ただ、それでも、小規模店舗であっても、1日の売上が50万円~100万円ほどになる店も多いという。
(協力:FLASH編集部)
「闇スロの運営を、暴力団が直接やっていることはほとんどない。いま運営しているのは、元々闇バカラ店とか風俗店をやっていたけど、繁華街の浄化作戦で商売ができなくなった経営者とかがやってることが多いよね。もちろん、店舗がある場所を縄張りにする組織にエンソ(上納金)は払うけど。客も、やっぱり繁華街だからガラが悪いのも来る。でも、パチンコ屋に普段から行ってるような普通のサラリーマンが、同じ趣味を持ってる人間から聞きつけて来るほうが多いよね」
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「闇スロ」店の中には、とりわけ特別な“何か”があるわけではない。雑居ビルのワンフロアに整然とパチスロ台が並べられ、客は黙ってその台に向かう普通の光景。店員は懇切丁寧で、威圧的な雰囲気は全くない。
「店は夜の9時とか10時に始まって翌朝までやってる。サラリーマンなら飲み食いして酔っ払って、2軒目、3軒目で『何か面白いことはないか』となった時に、『せっかくだから行ってみるか』と入る。気も緩んでるだろうし、もしこれで大当たりしたら豪遊するぞ、とかね。当たったらいい時間つぶしになるから、終電逃した人も来てる。あとは、水商売の客、従業員も店から出てくる時間にちょうどいい。比較的カネを持ってるのもあるけど、彼らの仕事が終わる時間っていうのはパチンコ屋は閉じている時間だから」
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警察の摘発が入れば、その店舗の経営者はもちろん、その場で台に向かっている客も、紛れもない「賭博」の現行犯として逮捕される。ただ、何度潰されようとも、店は新たに生まれ続け、客も新たに入り続ける。
「4号機が廃止になって、闇スロが目立つようになってから5年くらい経つけど、そのなかでも色々な変化はあった。最初はやたらレートをあげる形で客集めを競い合う状況があったけど、今はそういう『違法』を極める形じゃなくて、『脱法』的な店も出てきた」
「例えば、台の横に『特製カード』の自動販売機がついていて、あくまでそれを買った「おまけ」としてパチスロで遊べる店があるんだよね。パチスロで勝つと、景品としてさらに『特製カード』がもらえる。それで、その『特製カード』は、正式に「古物商」の許可をとった店員に売れば換金できる。そういう形式をとって法の穴をついている。その店は、外から見ても店内にスロットが並んでいるのがわかるようになっていて、『ここは違法ではないから』と客をつかまえてるよね」
浄化作戦によって表面的に街がキレイにされる一方では、意図せざる形で、人を楽しませ、カネを巻き上げる手法は洗練され続ける。そして、新たな客を取り込み続けているのだった。