ワタミが中心となって展開している「みんなの夢アワード3」(以下、夢アワード3)の一次選考通過者51名が発表された。

みんなの夢アワード3 第一次選考結果
http://www.miraimeishi.net/award/result.php

 「日本一の夢を決める」ことをテーマに、過去2回開催された「みんなの夢アワード」だが、第3回大会は来年1月30日に武道館で開催される。今回は300名を超える人たちが応募。最終的に8名程度のファイナリストが選ばれ、武道館のステージに立ってプレゼンテーションを行うのだが、そのファイナリスト候補としてまずは51名が選ばれたわけだ。

一次審査通過の大多数が
ソーシャル・ビジネス系

 「日本一の夢」とは、単に日本一大きな夢というわけではない。「日本で一番多くの共感を得る夢」という意味でもあり、昨今は人々の共感を得る夢とは社会貢献を志す夢ともいえるので、結果的に一次審査を通過した夢も、なにかしら社会貢献につながるものが大多数だった。僕はこの「夢アワード3」のアソシエイト・プロデューサーでもあるので、一次審査会にも参加したが、審査員の中からは「もう少し、ソーシャル・ビジネス以外でなにか(一次審査を通過できるような夢が)ないのか?」という声があがるほどだった。

 特に今回は、ノーベル平和賞受賞者で世界の代表的な社会起業家であるグラミン銀行のムハマド・ユヌス氏が特別審査員で参加することもあって、社会起業家をめざす人たちの関心を呼び、応募が増えたという事情があると思う。また、武道館イベントには大企業を中心に50社のCSR担当者も参加して、彼らの前でプレゼンでき、何かのカタチでの支援を得るチャンスが得られるということも、ソーシャル・ビジネスにチャレンジしている人たちの応募動機になっていると考えられる。

 だからからか、Teach for Japanの松田悠介氏や、「Asia Social Innovation Award 2011」受賞者である(当連載の「筆者が勝手に選ぶ社会貢献アワード」でも昨年の大賞受賞者でもある)温井和佳奈氏など、すでに高い評価を得ている注目の社会起業家の応募も増えている。

 僕の基準で言えば、一次選考通過の51名中49名の夢が、ソーシャル・ビジネスに関する夢である。今回は、この49名の夢から見える、最近のソーシャル・ビジネスや社会貢献の指向性、傾向を考えてみたい。

減り続ける環境問題への関心。
若者の多くは社会問題へシフト

 結果を見て僕自身がまず驚いたのは、環境問題への関心の低さである。ソーシャル・ビジネスには大きく分けて、「環境問題」と「社会問題」への関心/取り組みの2つがあると思うが、49名中、環境に関する夢を語った人は7名。他の42名は社会問題解決に関する夢である。数年前のエコ・ブームからは考えられない数字だと思う。世界の環境問題が画期的に解決されたわけでもないのに、環境活動家のみなさんからすれば納得できないことかもしれないが、これは事実である。

 実は、僕自身も以前からこの変化を感じていた。以前は、社会起業家をめざす若者の多くは環境問題に関心が高かったが、最近はそのような若者が激減していると感じている。その境目はいまの25歳である。つまり、25歳以上と以下では志向性がまるで違うということだ。

 また、30代、40代の人間にも、環境問題より社会問題に関心がある人が増えているようにも感じていた。これはキチンとした調査結果ではなく、僕の印象論に過ぎない。僕は環境活動家ではなく社会貢献活動家なので、僕が知り合うのは必然的に社会貢献を志向する人間が多いからかと思っていたが、あながちそうでもないことが今回の一次選考通過者を見て分かったわけだ。