もうひとつ。ゴールドマンサックスやモルガンスタンレーなど大手投資銀行は、米長期金利は今後大きく変動しない見通しを出し、そしてそのシナリオに沿ったボラティリティー低下を見込むトレード戦略を推奨した(6月7日 Bloomberg)。それが影響しているかどうかはわからないが、それ以降、米国金利は目に見えて下げ、ボラティリティーも低下した。

 ただし、今後2カ月程度というトレード戦略であり、8月以降は不透明だ。

 FRBは例年8月、巨大なスキーリゾート地で知られる西部ワイオミング州ジャクソンホールで経済シンポジウムを行う。そのときにいろいろな話を切り出す。現時点では利上げは2023年まで考えないとしているが、テーパリングをいつ頃から始めたいか、という話題があるか注目される。

 二つ目の日本のワクチン事情についても、ワクチン接種率は次第に高まっている。Our World in Dataは、オックスフォード大学を中心に世界の主要大学やメディアが協力する世界規模の問題を見える化したサイトである。このサイトに掲載されているG7のワクチン普及率(少なくとも1回接種した人の人口に占める割合)グラフをご覧いただきたい。

 6月10日で日本は12.6%だが、これはカナダやフランスの3月30日の数字と同じだ。2カ月半の遅れということになる。つまり順調にいけば2カ月半後の8月末には日本の接種率は今の欧米の水準となる可能性が高い。

 とすると、8月末になる前に、日本の株価は欧米並みに回復すると考えて良い。6月11日の株価指数は欧米とも年初から14%程度(日本は6%)上げた。約8%の差は、日経平均でいうと3万1000円の位置だ。十分に達成できると思う。