日本の株価下落率が
大きい二つの理由

 なぜ、こうなってしまったのか。

 昔からある、「米国がくしゃみをすると日本が風邪をひく」「いつもそうだから」という言い方が最も説明できているが、それでは身もフタもない。日本の下落率が大きい理由として考えられるのは、米国のインフレ懸念と、日本のコロナウイルス感染状況への懸念という二つだ。

 この二つの理由を、もう少し掘り下げて説明したい。

 まずは米国のインフレ懸念についてだ。

 米国の金利上昇を世界の市場は恐れている。世界中の中央銀行や政府がカネをばらまいているので今の好景気になっているが、その状況が一変するからだ。

 中央銀行はインフレを抑制(物価を安定)するのが仕事だから、過度な景気を抑えるために誘導金利を上げる。そうなると経済の血であるカネの流れが止まるからせっかく動きだした経済が止まる。こうしたシナリオを株式市場は警戒しているのだ。

 あまり指標が良すぎると、中央銀行が利上げを誘導しなくても、米長期金利が自主的に上昇する。そうすると、金利の上昇はマズい、という警戒感が発生して株価が下落する、というパターンになるのだ。米国の景気を示す指標で良い数値が出るたび本来は株価が上がるはずだが、今年はそうでもないのは、市場が警戒しているのだ。