今年に入り最初の3カ月、株式市場は日欧米ともに好調に推移した。特に2月末までは日本が一番だった。

 トランプ前大統領の弾劾裁判が無罪評決で決着がつき、追加景気対策の早期成立への期待が高まっていた時期である。日本は、ファイザーのワクチン特例承認を出した。この時は、役人が休日出勤して週末に承認を出したというニュースにも私は驚いたものだった。内閣府が公表した2020年10~12月期のGDP速報が良かったということもあり、今年の上半期高値を付けた。

 この間、1月末の下落が最初に目につくが、これが下げ局面、最初の節目だ(図中〈1〉)。

 これはゲーム専門店の米ゲームストップ株をめぐる、米国のヘッジファンドと個人投資家によるマネーゲームに影響されたものだ。ゲームストップの株価は2020年4月には2.5ドルだったが、今年1月28日には483ドルに高騰し、そして2月19日には38.5ドルに下がる乱高下となった。

 この影響で、欧州と日本の株式相場も下落した。

 ネットで情報拡散されることで急激な株価変動が起きる「ミーム株」は、米国株式市場において個人投資家の人気が高い。その影響で日本の株式相場も下がったときは、買いチャンスと思って良いだろう。

欧米に比べて
回復が遅い日本

 二つ目の下げ局面は3月の節目だ(図中〈2〉)。

 3月中旬の米連邦公開市場委員会(FOMC)の後に大きく下落した。テーパリングを行うのではないかと市場が解釈したことによる下げだ。

 テーパリングは米連邦準備制度理事会(FRB)が行っている資産購入を規模縮小することで、要するにカネのバラマキを縮小することである。車でいうとアクセルを離す行為だ。その足は、いずれブレーキに向かう。それを嫌気した下げだった。