“貴族的”なIOCが本当に変わってきた
海外から来る人はワクチンでむしろ安全

小林 延期による大会の簡素化は、進んでいますか?

橋本 オリンピックは巨大になりすぎたと批判されています。その巨大なものも今回削減できました。改革する時がいつか来るんだろうなと思って共に生きてきました。その変化が今起こっています。IOCが東京大会を1年延期させただけでもすごいことだったし、多くの関係者やメディアの来日する人数を3分の1以下に抑えてきました。

 IOCを、ずっとそばで見ている私のような人間としては、よく変わったなと思うくらい、変わっています。本当に世界が望む、オリンピック・パラリンピックの価値がちゃんと問える大会になってきていると思います。

小林 「簡素化」に伴ってオリンピック・ファミリーが滞在するホテルの部屋のグレードを下げた、滞在中の専用車の提供もやめた、これをIOCに承諾させたと聞いて驚きました。

橋本 配偶者、パートナーも連れてこないですしね。

小林 そうなんですか?これだけ条件が厳しくなったら、「東京に行くのはやめよう」と考える人が多いでしょう。

橋本 来ない人、関係者やスポンサーには多いでしょうね。

注/18日の組織委員会発表によれば、来日する関係者は当初の約18万人から約5万3000人に、オリンピック・ファミリーは、3000人から1200人に減少した。

小林 来日する選手や関係者の感染対策を規定したプレイブックが作られ、改訂を重ねています。かなり厳しい内容です。私も都民のひとりですが、一般の東京都民はもっと全然自由です。選手や関係者の行動は数倍規制されている。

橋本 組織委員会の立場で言うと、海外から来る方たちは80%くらいワクチンを打ってきてもらえる。まだ伸びる可能性がある。むしろ安全な方々なんですね。クリーンな人にさらにバブルをかけて、何重もの対策をします。選手は毎日検査をする。メディアの方々も関係者も原則、毎日に近い検査体制で、医学的、科学的にも安全なものにしています。