新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)は、中南米の多くの人々を貧困状態に追いやった。しかし、金融セクターは想定外の恩恵に浴した。中南米の何千万人もの人々が、政府からの緊急支援金を預け入れるため、初めて銀行口座を開設したのだ。それによって大きな恩恵を受けたのは、実在の支店を持たないバーチャル型の銀行を含む新興のハイテク金融機関などだった。一般の銀行と比べて手数料が安く、より機敏であるにもかかわらず、一般銀行と同様のサービスの多くを提供するこれら金融機関は、伝統的金融機関の利用を避けてきた人々を引き付けた。調査会社アメリカズ・マーケット・インテリジェンスがマスターカードの依頼で行った調査報告によると、6億5000万の人口を抱える中南米で1億人以上の人々が、パンデミックの間にタンス預金をやめて新たな口座の開設や、ほとんど利用していなかった口座の再利用へと向かったという。