同社の洋菓子事業本部店舗営業本部店舗運営部の部長を務める金田剛氏は次のように説明する。

「緊急事態宣言下でも、食料品や日用品の買い出しのついでに不二家洋菓子店に立ち寄るお客様が多くいらっしゃったので、昨年から『おうち時間をスイーツで応援しよう』というプロジェクトを始めました。巣ごもり生活が続くなかで、せめてご家庭でスイーツを食べるときくらいは癒やしの時間になれば、と思ったのです。実際にお客様からも、『自粛期間に不二家のケーキを食べて元気をもらった』というお言葉をたくさんいただきました。そうしたご意見をいただき、やはり我々はスイーツを通じて世の中に貢献していかなければ、と改めて感じたのです」(金田氏、以下同)

 こうした思いのもと、同社は新たな美味しさや楽しさを提供する方法を模索し始めた。そこでたどり着いたのが、今年発売70周年を迎えた看板商品の「ミルキー」をプッシュした商品の開発だという。

「70年の歴史を持つ『ミルキー』は、お子様からご年配まで、幅広い層のお客様に愛されている商品です。コロナ禍でも、『ミルキー』の新しいおいしさや楽しさが提供できれば、多くのお客様に喜んでいただけると思い、『ミルキー』をベースとしたソフトクリームやドリンクの開発に踏み切りました」

SNSを意識したデザインで
若年層の新規顧客が増加

不二家が「ミルキー」を味わう新業態を積極出店する理由ワッフルサンデー Photo:Diamond

 70周年というアニバーサリーイヤーを迎え、さらに老若男女に好まれるという理由から、新業態店舗の主役となった「ミルキー」。このように、商品開発や新店舗出店の際には、客層を強く意識しているという。

「現在、当社のメイン顧客はお子様がいるファミリー層や、昔から不二家商品をご愛顧いただいているシニア層です。高校生~20代前半の、とくに女性がそれほど多くありません。この年代のお客様はSNSでの情報拡散力が高く、さらに、将来結婚して子どもができたときには親子でご利用いただける可能性もある層です。長期的に見ても、若い女性たちにファンになってもらうことはとても重要だと考え、各店舗の商品開発時には、SNS映えするパッケージなどを意識しました」