「総量規制」を断行した日銀の過去を思う
欲を張らずに「頭と尻尾はくれてやれ」

 異次元の金融緩和を続けてきたので、その逆である金融引き締めは容易ではない。特に、コロナ禍の不景気の中でそんなことをしたら、経済的に何が起きるか想像もできない。しかし日銀は過去にバブル景気を崩壊させるため、総量規制という不動産へのお金の流れを止めた過去を持つ。今回も不動産インフレを容認せず、賃貸市場の需給を緩めないようにするために金融引き締めをすることは考えられないだろうか。

 例えば、都市圏で賃貸需要が減退している中、供給を抑制させて需給悪化を抑えることは、できなくはない。実際、スルガ銀行の不正融資前後から個人投資家への不動産投資資金はかなり厳しくなっている。その際は、日銀ではなく、金融庁が指図をしている。

 今回も、主体的に金融を引き締めるのは金融庁である可能性が高い。その場合、何が都合が悪いのかというと、賃貸マンションを供給しているデベロッパーは分譲と賃貸が一体であり、お金の流れを賃貸だけ抑えるということが実行できるのか、注目しておかなければならない。

 不動産へのお金の流れが潤沢になって8年がたつ。いつか終わるならば、そろそろそのリスクに備える必要がある。しかし悲しいかな、デベロッパーという業種は方向転換するのに2年はかかる。それは、用地仕入れから竣工まで、少なくともその程度の期間を要するからだ。

 つまり、賃貸市場が崩れて、分譲市場が値上がりすると分かっても、2年後でないと対応できない。そこで考えるべきことは、売り手に有利な「売り時」は今から2年間の中でピークを迎える可能性があるということだ。

 販売期間は約3カ月かかることを考えると、売却を決断するには、明らかにいい時期を迎えているといえる。不動産の価格が下落するときは、バブル崩壊の時もリーマンショックの時もそうだったが、ある日突然、「サドンデス」となり急落するものだ。

 そんな不動産価格の特性を考えると、株式取引の格言である次の言葉を思い出す。

「頭と尻尾はくれてやれ」

 自宅で不労所得を得た金額は、「住まいサーフィン」の査定結果では平均2000万円を超えている。あまり欲張らずに利益確定して、賃貸に引っ越すのも悪くない。その時期は、すでに到来している。