昭和天皇の朝食はオートミール!

 この約1年で人気が急上昇したオートミールだが、いつ誕生したのだろうか。

 もともとはイギリスやスコットランド、アイルランドでオーツ麦を煮たおかゆが朝食に食べられていた。移民とともにアメリカに渡り、1870年代にオーツ麦をフレーク化する技術が開発されると、さまざまな食品会社がオートミールの大量生産を開始した。本来オーツ麦の非常に硬い外皮に包まれているので、食べるためには長時間煮込まなければならない。そこで、短時間でも食べられるように加工されたことで一般に普及していった。

 1880年頃にアメリカでオーツ麦のフレークを使用したグラノーラが生み出され、シリアルが急速に普及した。その後、オートミールの生産が徐々に減少。しかし、1960年代のヒッピームーブメントによって健康食材としてオートミールやグラノーラが再評価され、改良も進み人気が戻ってくる。

 日本にオートミールの製法が伝わったのは明治時代といわれている。日本では健康食品としてオートミールが注目されるまであまりなじみがなかったが、昭和天皇の朝食としてオートミールが出されていたという。

 オートミールの栄養効果は欧米でも日本でも古くから伝わっていたということだ。

 ただ最近、日本ではダイエット食品として注目を浴びているが、欧米の食卓で昔から並んでいるなら欧米の人はみんな痩せているのでは?という疑問が湧いた人もいるだろう。

 主食を白米からオートミールに変えることでダイエット効果は確かに期待できるが、それ以外で高カロリーのものを摂取し続けていたり、運動不足だったりすると当然痩せることは難しい。ちまたで○○ダイエットと呼ばれるものも、その食材だけ食べていれば痩せられるというものではない。

オートミールの栄養

 オートミールは小麦のように精製されていないため、外皮に含まれるビタミンやミネラル、食物繊維が残っている。

在宅勤務太りに効く!オートミールの潜在能力とおすすめレシピ*白米90g+雑穀10gで100g。雑穀の種類によって栄養価は変動する。(出典:日本食品標準成分表2020年版)
拡大画像表示

 オートミール100gに含まれる食物繊維、タンパク質、鉄分について、糖質制限や健康に着目している人が主食に取り入れている玄米、押し麦、雑穀米と比較したのが上記の表になる。食物繊維が最も多いのは押し麦だが、オートミールも9.4gで食物繊維が多いとされる玄米の約3.5倍だ。

 タンパク質はオートミールがその他の約2倍とダントツの含有量である。鉄分は玄米にも多く含まれているがこちらもオートミールが最も多い。現代人に不足しがちなビタミンB群、ビタミンEや鉄分も豊富で、疲労回復や代謝アップも期待できる食品といえる。