アルツハイマーのあの会社も上位
塩野義もワクチンが期待される

 2位は、鎮痛剤「ロキソニン」や傷薬「マキロン」で知られる第一三共で1126.7万円。市販薬はグループの第一三共ヘルスケアが担っており、売上収益1000億円を超える抗凝固剤「リクシアナ」、高血圧症治療剤「オルメテック」などの処方薬が主力だ。

 3位はシンバイオ製薬の1095.7万円。米国アムジェンの元副社長で、同社日本法人の創業期から約12年間社長を務めた吉田文紀氏が05年に設立した。抗がん剤や抗ウイルス薬を手掛けている。19年、20年12月期と最終赤字が続いている。

 4位は武田薬品工業の1091.1万円。アイルランドの製薬大手シャイアーを約6兆円で買収してグローバル展開を加速しているが、巨額負債の削減に苦しむ。「アリナミン」「ベンザ」などよく知られた市販薬事業を米国のファンド・ブラックストーングループに売却したが、今後の戦略が問われる。

 5位はアステラス製薬の1088.9万円。国内大手の一角で、前立腺がん治療薬「イクスタンジ」、急性骨髄性白血病治療薬「ゾスパタ」が主力。ただ21年3月期は国内で販売契約を終えた商品があり、減収減益となった。

 6位は再生医療を手掛けるサンバイオで1051.4万円。スポーツや交通事故などによって起きる外傷性脳損傷(慢性期)の治療薬の開発を進めている。

 7位は、米国企業と共同開発したアルツハイマー治療薬「アデュカヌマブ」が米食品医薬品局(FDA)に条件付きで承認されたエーザイで、1037.0万円。昨年から1万円を下回っていた株価は6月に一時、1万2000円超に急騰したが、競合薬の登場で反落した。実用化後の効果が期待される。

 8位は「ボンカレー」など食品も手掛ける大塚ホールディングスで1032.3万円。主力は医薬品で、うつ病薬、双極性障害治療薬など20年12月期の売上収益が1000億円を超える商品が3つある。

 9位は中外製薬で1017.3万円。抗がん剤や骨粗しょう症治療薬などが主力だが、同社の永山治名誉会長の東芝の取締役会議長再任案が6月の定期株主総会で否決されたことが耳目を集めた。

 10位は新型コロナのワクチン開発を手掛ける塩野義製薬で943.1万円。手代木功社長は5月、ワクチンについて「条件がそろえば年内の国内供給が可能になる」と表明した。足元ではファイザー、モデルナ製ワクチンの供給不足が問題化しているが、塩野義は間に合うだろうか。

 今回ランキング対象となった53社のうち、年収1000万円超えは9社。900万円越えは5社、800万円超えは8社で、500万円未満は3社だった。

(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)