老若男女に広げるために
――知らない人に向けて優しく作るということなんですかね。
ひろゆき氏:そうですね。たとえ、家電のような機械であっても、究極的には「説明書不要」がベストですから。iPhoneのようなアップル製品は、まさに説明書がなくても使えるようなデザインが行き届いていますよね。
「アフォーダンス」を意識してものづくりをすると、言語の壁を超えて海外でも広がる可能性が上がります。あるいは、子どもや高齢者に使ってもらえるチャンスも広がりますからね。
――なるほど……。さまざまな場面で考えるべきことかもしれませんね。
ひろゆき氏:どんな製品も、ちゃんと説明すれば便利さが伝わります。でも、ちゃんと説明されるチャンスが少ないんですよ。家電量販店で丁寧に説明してくれる人が、つねに横にいるわけではありませんから。
人を動かす側にまわろう
ひろゆき氏:「アフォーダンス」を前提として考えることができると、「人間がどうすれば動くか」がわかります。
男性用の小便器で「的があって狙いたくなるトイレ」がありますが、それによって周りへの尿の飛び散りを防止しています。「尿の飛び散りに注意してください」と張り紙がしてあるよりも、的を狙ったほうがいい。そうやって「仕組み」によって問題解決をする思考になることができますよね。
その他にも、「紫色にしたほうが人は高級感を感じる」「レジ前にこれを置くと、人はついで買いしてしまう」など、事例はたくさんあります。
――どうすれば、そういう力が身につきますかね?
ひろゆき氏:とにかく、「言葉を使わない」という状況で伝える努力をしてみることですね。人は「話を聞かない」し、「文字を読まない」し、「わかりあえない」という前提で生きてみることです。
言葉や文字を使わずに、メッセージを伝えるためにはどうすればいいのか。それを考えてみるようにしましょう。そして、試行錯誤してみることです。
「自分が作ったものや考えたことは素晴らしい」と思い込んで何もしないのではなく、いろいろな改善点を見つけて試してみることです。ぜひ、いろいろな場面でやってみてほしいですね。
本名:西村博之
1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「ペンギン村」をリリース。主な著書に、29万部を突破した『1%の努力』(ダイヤモンド社)がある。