アメリカでは映画やドラマでおなじみの「プロム」と呼ばれる高校卒業時のダンスパーティーがある。

「時間を伝えてジャケットを着て迎えに行く、女性を奥に座らせるなど、異性との接し方やエスコート方法、レディファーストの習慣を、一連の通過儀礼的なプロセスで思春期に経験するのは大事です。プロムには反対論者もいますしフェミニズムの観点から批判もあるでしょうが、基本のキを知っているかどうかは大事でしょう。

 また、アメリカには男女が付き合う前段階としてデーティング(dating)という期間があり、交際するに足る相手かどうかを見極めるノウハウが10代のうちから共有されています。こういう下地がないと、社会人になって焦って婚活しても女性の誘い方からしてわかりませんし、結婚しても夫婦関係をうまく構築できません。だからこそ日本では妻関連コンテンツが受けていますが、欧米からすると『今さら学ぶの?』という感じでしょうね。非常に日本的なコンテンツだと思います」

 妻関連コンテンツの人気には日本の未熟さが表れているのだ。とはいえ、日本も以前に比べれば前進はしているという。

「たとえ動機が不純であっても、夫が妻の考え方を理解しようと努め、結果として男女同権的な家庭・社会に変わっていくのは歓迎すべきことです。若い世代や女性にとっても昭和的な老害おじさんが“転向”している状況は喜ばしいことでしょう。いまだに一部のSNSでは、時代に取り残された年配男性が『妻の機嫌を取るなんて情けない!』とほえていますが、いずれ声を発する気力もなくなります」

 いまだに古いロールモデルにしがみついている男性は、誰からも相手にされない寂しい老後が待っているのかもしれない。