実は2021年3月19日の参議院予算委員会で、山田宏議員が「歯科医療とコロナ」をテーマとして取り上げ、上表のデータが示されました。

 この一連の質疑応答の中で、田村憲久厚労大臣は「歯科医院は感染症に対して非常に注意深く対応している」と発言。コロナ対策を担当する西村康稔経済再生担当大臣は「歯科治療で感染が広がったという報告は今まで受けたことがない」「口腔の健康が健康管理の基本」と答弁しました。

 また、菅義偉総理は「口腔の健康の保持増進を図ることは、健康で質の高い生活を行う上で極めて重要な役割を果たしていると認識している」とコメント。さらには「コロナ禍においても国民のみなさんが必要な受診や歯科健診等を行うよう、国としても今働きかけをしている」と宣言しました。

 このメッセージは国民のみなさんに届いているでしょうか?

 舌表面の侵入口は、通常は薄膜で覆われていてウイルスから隠れています。ところが口腔内が汚れていると、この薄膜が剥がれてウイルス感染しやすくなるとこれまでも指摘されてきました。また、歯周病になると歯周病菌が血液に混ざり、菌が血管を傷付けて血栓ができやすくなります。そのため、コロナが重症化して起こる「サイトカインストーム」でも血栓リスクは高くなるとされていました。

歯周病菌は口腔内“最恐”の細菌
忙しい人におすすめの口腔ケアとは?

 歯周病菌は全身の多くの病気に影響を与える、口腔内で“最恐”の細菌です。血液に混ざった菌はその毒性で全身を傷付け、現在まで認知症やガンなど数多くの病気の発症・進行を助長していることが知られています。最近は虫歯菌も脳内出血と深い関係があることが分かってきました。

 歯ぐきに特別な外傷などの出血がない限り、歯磨きの時に出血した経験のある40歳以上の人は歯周病にかかっています。「今は血が出ていないからもう治った」と勘違いしないでください。歯周病に自然治癒はなく、たまたま出血が見えないだけです。

 自分で日常的に行うセルフケアと、定期的に歯科医院で行うプロケアの両方を行うことが口腔ケアです。忙しい日々をお過ごしの人も、ぜひかかりつけの歯科医を持って通ってください。これは健康寿命を延ばすことにもなります。