伐採せずに「金のなる木」 CO2吸収のドル箱事業「ビッグ・ワイルド」と呼ばれるピジョン・リバー・カントリー・ステート・フォレストは、ミシガン州のローワー・ペニンシュラで最大の原生地域 PHOTO: BRIAN DAY FOR THE WALL STREET JOURNAL

【バンダービルト(米ミシガン州)】当地の州有林「ピジョン・リバー・カントリー」の管理当局は木材の販売や石油・ガスのリース契約、狩猟許可証、キャンプ場使用料に加えてカーボンオフセットという新たなドル箱事業を確保した。

 ミシガン州ロウアー半島に位置する広さ11万エーカー(約450平方キロメートル)の同州有林は「ビッグ・ワイルド」とも呼ばれ、ヘラジカも生息する。州自然資源局は今後40年間、この森での伐採を制限して、カーボンオフセット――温室効果ガスの排出を相殺するため企業が利用する「通貨」――を生み出す。

 州最大のエネルギー企業であるDTEエナジーはこのカーボンオフセットを購入。同社の天然ガス事業の顧客は環境対策として毎月一定の料金を支払えば、カーボンフットプリント(CO2排出量)を減らすことができる。

 企業が温暖化ガスの排出削減を約束した結果、伐採されていない木が活発に取引されている。森林所有者に代金を支払い木を切らずにおいてもらうことで、大気から森林に炭素を余分に吸収させるという仕組みだ。確保した吸収枠はカーボンオフセットの購入者のものになる。管理当局が木を計測してカーボンオフセットの発行量が決定される。二酸化炭素1トンで1単位だ。