木材高騰「ウッドショック」が、森林率7割の日本で起きる根本原因とは国土の多くを山林が占める日本で、なぜ木材価格が高騰する「ウッドショック」が起きているのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

世界的規模でコロナウイルスの感染拡大が続く2021年3月、ウッドショックという言葉を不動産業界、建築・土木業界で突如として耳にするようになった。これは主に木造住宅などで使用される柱や梁用の木材の供給が逼迫(ひっぱく)し始めて、価格の高騰によって現状の想定価格では住宅が建設できなくなる可能性が出てきたという「木材価格の高騰・急騰」を示す言葉だ。1970年代に発生した「オイルショック」になぞらえた言葉だという。国土の多くを山林が占める日本で、なぜウッドショックが起きるのか。その原因と今後の課題について解説する。(LIFULL HOME’S総合研究所 副所長チーフアナリスト 中山登志朗)

1980年代バブルの需要増加で
木材自給率は30%に低下

 現状では海外からの輸入にその多くを依存する木材は、世界的な需要の高まりに影響され、市場価格が高騰していることでもはや従来の価格では輸入できないという状況になっている。日本の木材の自給率はここ数年わずかずつ上昇しているが、それでも林野庁の「森林・林業白書」によると2019年時点で37.8%、実に6割以上を海外からの輸入に頼っている状況では、世界的な木材の需要の高まりの影響は避けられないというわけだ。

 そもそも海外からの(安価な)木材輸入が本格的に始まったのは1960年代以降のことだ。高度成長期に突入した日本経済は旺盛な宅地開発によって急激に木材需要が拡大し、国内の生産量だけでは間に合わなくなったことが背景にある。