接種証明書がないと生活に支障
外国製ワクチンは対象外

 中国在留邦人のワクチン接種も進んでいる。接種には1回100元(約1700円)かかり、強制でも義務でもないが、「接種証明書がないと生活に支障をきたすようになってきた」との声が聞かれる(在住都市の保険があれば無料、接種費用は地域差あり)。

中国版ワクチンパスポートに潜む、国民監視の「真の狙い」求められたら提示する中国の接種証明画面

 現在、省を越える移動には、接種証明書や決められた期間にPCR検査を受けた陰性証明を提示する必要があるが、今後はより狭い範囲で必須となりそうだからだ。

 在住日本人の中には、中国製ワクチンへの懸念から6月末に日本で始まった職域接種や8月1日から成田空港と羽田空港で実施されている海外在住者向けのワクチン接種を受けるために一時帰国をする人も出始めている。

 しかし、日本でファイザー製ワクチンを2回接種して、7月末から始まった日本版の「新型コロナワクチン接種証明書(ワクチンパスポート)」を取得しても中国ではワクチン接種とはみなされていないのが現実だ。

 中国版のワクチンパスポート(接種証明書)は、中国製ワクチンしか認められておらず、中国製以外のワクチンは今後も含まれることはないだろうと在留邦人の中ではうわさされている。

 中国に支社を持ち、新型コロナ前まで頻繁に日中を往復していた日本人の中には、日本でファイザー製ワクチンを2回、中国でも中国製ワクチンを2回の合計4回接種した人もいる。

 中国国内の移動やビジネスに支障が出るため、中国が発行する接種証明書がどうしても必要だからだ。しかも、中国が認めるワクチンの接種を完了させていても海外からの入国時の隔離は免除されていない。当然、ファイザーなどを接種していても隔離措置においては意味をなさない。

 現在、中国の主要都市では入国後、指定のホテルで21日間隔離される。大連など一部地域では28日間隔離と実に約1カ月間も部屋から一歩も出ることができないという、世界のどこよりも過酷な感染対策を実施している。

 8月上旬に大連から入国して指定ホテルで隔離中の日本企業代表によると、ホテルは2カ所から選ぶことができ、28泊分の滞在費1万1550元(約19万7000円)と別途かかる検査費用も合わせて前払いで支払ったとのこと。