BtoC事業へのトライが
コロナ禍で売り上げに貢献
まずは19年、日本酒の熱かんの飲み方を世界にも広めようと、45度以上の熱い飲み物を注ぐと、黒のシルエットが消え、桜の花が浮かび上がる酒器「温感盃」を開発。さらに、外国人にシャンパンやワインで温度による変化を楽しんでほしいと、20年2月、タンブラー、グラスを含めたシリーズ第1弾「冷感桜」を生み出す。技術面ではガラスや漆器の表面に印刷する転写の技術を使用。特殊なインクを使い、職人が一つ一つ絵付けを実施。17度以下の飲み物を注ぐと、白のインクで描いた桜が色づく仕掛けだ。
発売はくしくもコロナ禍にバッティング。見込んでいたインバウンド需要はいったん消滅するが、オンライン販売を始めたところ、色が変わる様子の動画がSNSなどで話題に。
メディアでの露出も後押しし、国内外から注文が殺到する。
●株式会社丸モ高木陶器 事業内容/陶磁器卸・製造販売、従業員数/38人(グループ会社含む)、売上/6億5000万円(2020年度、グループ全体)、所在地/岐阜県多治見市市之倉町1-12-1、電話/0572-22-3810、URL/marumo1887.com
「各地で花見が中止となり、おうち時間を楽しみたいというニーズの高まりも奏功しました」と髙木氏。その後、花火、もみじ、富士山など季節に合わせたシリーズが続々誕生。シリーズ全体で累計10万個(ピース)を売り上げている。
同社初のBtoC事業への挑戦だったが、従来の主な取引先である飲食店、大手航空会社の機内用食器の市場が大ダメージを受ける中、売り上げに大きく貢献。「現状に甘んじず挑戦し続ける大切さを、あらためて痛感しました」と語る。
「次はSDGsを意識した商品作りを考案中です」と髙木氏。次はどんな趣向で世界をあっと言わせるのか、期待したい。
(「しんきん経営情報」2021年9月号掲載、協力/東濃信用金庫)